エゴイスト・ストーリー

お客を選べる仕事で尊厳を守る

枝井です。

サービス業や小売業の労働者さんたちは、いつも多大なるストレスに晒されています。

・嫌な上司

・険悪な同僚

・辛い出勤環境。

そして、外せないのがお客対応ね。

これは僕が老人ホームで働いてた時の話ですが、はっきり言って僕が務めていた施設は「老人ホームとしての質」はかなり低いところでした。

この辺りは僕が提唱する「自己中生活」への入門書の中でもチラっと触れてますが。

>>自己中生活(エゴイストライフ)への入門書

老朽化した設備が故に入所費用も安いので、当然、そこに入ってくる利用者も生活保護を受けていたり、何かしらの金銭事情を抱えた人だったりも多く入ってきてました。

そういう人達を多く見てきた経験からこう言っちゃ言い方悪いですけど、個人的には資産と民度って関係してると思ってて、金銭事情を抱えた利用者の家族もクレーマー気質の人が多かった傾向があります。

で、お年寄りの皮膚ってのは皮自体が薄くなってるんで、ちょっとどこかにぶつかるだけでもすぐに破けちゃうんです。(表皮剥離って言うやつです)

なので、職員的には利用者さんには長袖を着させたいわけですが、何度家族に長袖の依頼をしても持って来てくれなくて半袖しか持ってない利用者がいて、その人が案の定どっかでぶつけたらしく前腕辺りを表皮剥離しました。

こういう場合は当然家族に連絡をします。

するとその数時間後。

ズカズカズカ!!

50くらいのおばはんが、まるで地獄の鬼のような形相で、頭から湯気を出しながら面会にきました。

僕らスタッフは一瞬で悟りました。

「さっきの利用者の娘だ・・・!」

そしておばはんは職員たちにこう言いました。

「たなた達は介護のプロなんだから今後こういう事のないように気をつけてください!!」

と。

まあ、このオバハンが言わんとする事も分かりますが、利用者が自分の部屋で何かしてる時にやってるんで、気をつけようもないからこそリスク軽減の為に長袖持ってこいって事前に連絡してたんすけどね。

しかも事もあろうか、こうしてわざわざ施設にクレーム言いにやって来てるのに長袖持って来ないっていう(笑)

こんな感じで、サービス業ってもんは、いつも世にも奇妙な物語に溢れています。

多くの従業員にとってストレス、恐怖、悩みの種でしょう。

とは言え、小売業などの単価の低い商品を取り扱っていて数を量産しないと利益を出せない、薄利多売な業態にとってはお客を選んでいる場合ではありません。

「誰でもウェルカム!!」

「理不尽な要求もウェルカム!!」

というスタンスに成らざるを得ないのもしゃーない事です。

「じゃあ、ビジネスをする者はお客を選んではいけないのか?」

「誰でも相手にしないといけないのか?」

って言うと、そんなわけありません。

むしろ「選別」していいんです。

それでもビジネスはしっかりと成り立ちます。

まあ、僕がこんな事を言うまでもなく、まともな教育を受けてきて普通レベルの教養や知識がある人なら、ほぼ100%この話に同意してもらえますし、解っている事だとは思うんですけどね^^

例えば高級レストランなどでは「ドレスコード」という手段が用いられてる所もありますよね。

ドレスコードはそもそも、そのお店に「相応しくないお客」をお客にしない為に用いられる手段です。

要するに、「お客の選別」するための手段です。

「誰でもお客にしたほうが売り上げは上がるのでは?」

と思われるかもしれませんが、誰でもお客にする事でレストランの価値を下げてしまう可能性もあります。

価値が下がれば価格も売り上げも下がってしまうので、長期的に見た場合には売り上げ減です。

価格も下げる必要はありません。

高い料理でも価値を感じてくれるお客だけを相手にすればいいんです。

「安い料理にしか金は払わない!!」

という価値観を持つお客はファミレスにでも行ってもらえばいいだけの単純な話です。

僕は、お客さんを神様だとは思ってません。

販売者とお客さんの関係はwin-winの関係性を築く仲間であり友人、つまり対等というのが正しい姿だと思っています。

理不尽な要求をかましてきたり、金を払う者が一番偉いと思っているような人間は大嫌いですしお客にしたくありません。

お互いに価値を提供し合う関係性の仲に上も下も普通は存在するわけはなく、互いに感謝して尊敬し合える関係性であるべきです。

販売者側が特殊な価値を提供できるのならば、むしろ販売者の方が立場は上だと思っています。

販売者:「買ってくれてありがとう!」

お客さん:「売ってくれてありがとう!」

それがビジネスであり、商売です。

どちらかが損をするなら詐欺だし、どちらかが虐げられるならそれは奴隷と支配者の関係性です。

なので例えば僕の場合は

「そんなふざけた事言ってると他の奴から買うぞ!」

と言われても食い気味で

「どうぞどうぞ」

という感じです。

そんな人に関わってもらってもこっちも迷惑ですし、全体の1割にも満たないそんな思考層が去ってくれても僕の懐事情は痛くも痒くもないんで全く問題ないです。

僕は僕の事を好きな人とだけ一緒に人生の時間を過ごしたいし、そんな仲間のために一生懸命頑張りたいし、たくさんの価値を提供したいと思えます。

嫌な人間と過ごす時間なんか人生にこれっぽっちもいりません。

なので、例えば僕のこんな理念を聞いて共感してくれる人は仲間だと思うので精一杯サポートするし、嫌いだと思う人はどんどん離脱してくれて構わないわけです。

そうやって、僕にとってもお客にとっても健全な環境が作られていきます。

それで良いんです。

短期的に見ると損に思えるかもしれませんが、長期的に見るとそっちの方が得ですよね。

質の良いお客だけが残り、質の悪いお客は去っていくからです。

このような手法は以前の記事でも出てきてますが「マーケティングファネル」とも呼ばれています。

>>テストステロンこと正体不明の筋トレ社長をディスる友人の話

サービス業とか小売業とかは、あまりにもお客の立場を上にし過ぎたような気がします。

まるで異性に何でも奉仕し過ぎてる人のように(笑)

自分で自らの価値を下げてしまっています。

「食事?仕方ないから付き合ってあげるよ」

「あなたと食事したくてたまらないから付き合って!」

彼女や彼氏に言われるならどちらがいいですか?

僕は絶対に後者です(笑)

とはいえ、前途した通り、サービス業や小売業のだとお客の選別は難しいので、お客の選別をしたいのならば価格の低い商品を量産して稼ぐという手法以外のビジネスを選んだ方がいいですね。

お客さんにとってもその方が得なんで。

PS.

自らが長いこと奴隷みたいな職員という立場だったからだと思うんですが、お店とかで店員さんに横柄な態度をとる人は嫌いです(笑)

アゴ返事だったり、感謝の言葉が無かったり、タメ口だったり。

初対面の人間と話すときは普通そんなことしませんよね。

ただ店員さんが相手になると多くの人がそれをやってしまいます。
(もしかしたら僕自身ですら無意識でそういう態度を取ってるかもしれません)

店員さんはロボットでも無いし奴隷でもありません。

一人一人に感情があり歴史を抱えた人間です。

労働者一人一人の頑張りにリスペクトの意を表したいものです。

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